「作品64-Q」
作品64Q

「作品64-Q」
1964年
91.5x91.9cm
姫路市立美術館所蔵



[関連資料]
■2006年「文化情報 姫路」掲載より
姫路市の発行する「文化情報・姫路12月号」の表紙に小野田實(作品64-Q)の作品が掲載されました。 以下掲載紙より引用
[二つの中心から等高線のようにたくさんの線が広がっています。線と線の間には無数の赤い(時には緑などの)丸、丸、丸。写真ではわかりませんが、画面にはゆるやかな凸凹が作られて、この不思議な模様の見え方をさらに複雑にしています。小野田はオートメーション工場で作り出される無数の同じものに注目しました。毎日製造されていく無数の真空管。それをテレビに組み込まれることから切り離し、ただ単に真空管の累積だけを見たとき、その膨大な無意味に驚異を感じないか―こう考えた小野田は、そんなイメージを具体化するために無数の円=「私のマル」を選びます。何の意味をもたず、あらゆる空間を埋め尽くす「私のマル」―こんなことを考えるとちょっと愉快にならないでしょうか。]

2006年「文化情報姫路」


■1965年4月「小野田實個展」案内状より

「姫路展に際して」  ヨシダ・ヨシエ

 去年の初夏、銀座ルナミ画廊で、小野田實がはじめての個展をひらいてから、またたくまに一年が過ぎてしまいました。
 その短いあいだに、かれは精力的に作品を造り、京都展をはじめ、いくつかの催しに、あのめくるめき原色の饗宴を、沈滞した美術界という食卓のうえへ、くりひろげてくれました。わたしはそれらの催しをすべて見ているわけではありませんが、かれの便りに接するたびに、スモッグに包まれた都会の空のかなたに、ギラギラした灼熱の太陽が急転し、かれにふさわしい中南米のコンガやボンゴの乾いた情熱の音が、鳴りひびいてくるような、さわやかな錯覚を覚えます。
 しかし小野田實の現実は、けっしてそんなロマンチックなものじゃあない。
 かれもまた「戦後美術」のひとつの普遍的課題を背負って出発した。その普遍をかれの思考の中で独自の世界に移すためのいいしれぬ孤立と忍耐を通過しなければならなかった筈です。
 小野田の作品を、よくひとはそのイメージの鮮明性とか色彩の強さだけで、印象的に語りがちですが、じっさいは、その空間とマチエールの合理性に達するための不合理の密度に気付かなければならないでしょう。その対極的な牽引と反撥の密度がかれの作品の内容でもあり、かれの独自性もそこにあります。今度、かれの住む姫路ではじめての個展がひらかれるそうですが、かれのユニークな内容をこんな面からも討論してくださることを望みます。 
<美術評論家>
1965年4月「小野田實個展」案内状


 「小野田實というえかき」  黒川録朗

それは昨年の五月のことである。数十点の作品を東京銀座の画廊に運び込み、「第1回小野田實個展」を開いた。
その秋、私は名古屋の綜合「文化会館」へ設計や施設の視察にでかけた。たまたまその時、二紀展が開かれていたが、私は画をみるいとまはなく、案内者に従って小走りで多くの部屋の横を通りぬけたとき、あまたの作品郡の中で、異様にまばゆい光芒を放射する二点の画が、私を感電的に停止させ、強引な力でその前へ引きずったのである。
それは細胞分裂を思わせ、得体の知れない生命が絢爛と流動する。小野田實の作品であった。私は驚嘆し、本当の小野田實にはじめて出会ったような思いをした。
 しかも、その一連の作品は外国の画壇にまで、大きなショックと反響をよびおこしたという。何とも恐るべきえかきである。
 彼の作品はかずかずの受賞にかがやき、多くの美術雑誌で紹介され、とりどりに評論されているが、来日したアメリカの高名な美術家、マツミ・カネツネ氏はとくに称賛して、ぜひニューヨークで個展が開かれるように骨折ってみたいと、執心にみちた書信をよせてきている。 
 まことに誇り高きえかきである。しかし、この街における小野田實は全く意外である。
 いつも材料で手を汚し、無口で謙虚なまるで若い禅僧のような男でありながら、彼らを中心とするこの街のアンデパンダン前夜祭には、裸になって乱舞する。無性に愉快な男でもある。
 そしてどこの誰がどんなにほめようと騒ごうと、一向気にもせずに、この街の一隅でただ黙々と独特の材料を汗みどろでこねて制作に明けくれている。
 まったく不思議なえかきである。
 このほど、彼は第三回の個展をこの街でひらく準備に、意欲と熱気に溢れてうちこんでいる。恐らくこの個展をひとつのピークとして、彼は大きく旋回し(脱皮し)われわれの想像をはるかに超えた。高次元のテーマにとりくむのではなかろうか?
 そんな気がする  いや、私も熱気をこめてそれを切望しているのである。
 ともあれ、この個展は小野田實にとってはもちろん、この街にとってもただごとではないことはたしかである。
                               
<姫路地方文化団体連合協議会々長>

以上「小野田實個展」案内状より抜粋
【2007/03/19 00:48】 | [3]WORKS1962-1966 | page top↑
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